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【コラム】住宅に最適な本棚の選び方:造作家具という選択肢

25.11.06

住宅で叶える理想の本棚──造作家具という選択肢

こんにちは!都市建築設計のノハラです。「本がどんどん増えて、既製の本棚では収まらなくなってきた」というご相談をよくいただきます。本好きの方はもちろん、家族の思い出の品や写真アルバムなど、大切なコレクションを美しく収納したいという方も多いですね。

「理想の本棚が欲しいけれど、既製品ではしっくりこない…」
そんな方にぜひ検討していただきたいのが、住宅の設計段階から計画する”造作家具”としての本棚です。

この記事では、造作本棚の魅力や計画のポイントをご紹介します。新築やリノベーションを考えている方はもちろん、「自分らしい収納空間」を探している方にも参考になるはずです。

造作家具としての本棚の魅力

造作家具とは、住まいの設計時に空間に合わせてつくるオーダーメイドの家具のこと。「本に囲まれて暮らしたい」というお客様の願いはもちろん、「家族の記録や思い出を大切に保管したい」という想いにも応えることができます。

造作本棚の最大の魅力は、何といっても「空間にぴったり合う」こと。天井の高さや壁の幅を無駄なく使えるだけでなく、階段下や出窓まわりなど、既製品では活用しづらい場所も有効に使えます。

また、住まいの床や壁と同じ素材や色を選べば、まるで建築の一部のような一体感が生まれます。本棚が「置かれた家具」ではなく「住まいの一部」になるんです。

理想の本棚づくり、計画のポイント

造作本棚を成功させるには、計画段階でいくつかのポイントを押さえておくことが大切です。

1. 収納するものの種類と量を考える

「どんなものをどれくらい収納したいか」を最初に考えましょう。文庫本、単行本、大型の画集だけでなく、写真アルバムや子どもの作品集、思い出の品など、家族の記録を保管するスペースも考慮すると良いでしょう。

例えば、下段は子どもが自分で出し入れできる高さと奥行きの浅い棚、中段は文庫本や単行本用の標準的な棚、上段は大判の写真集や家族アルバムを収納できる奥行きのある棚という、段ごとに異なる設計にすることも可能です。

将来的に増えていくことも見越して、少し余裕を持たせておくのもポイントです。


2. 設置場所と役割を明確に

本棚を置く場所によって、最適な設計は変わります。

リビングなら、家族で共有する本や写真、思い出の品をディスプレイする棚に。書斎ならデスクと一体化させて作業効率を高める配置が便利です。寝室なら、就寝前に読む本を中心に、落ち着いた雰囲気を大切にしたいところ。

「どこに置くか」で「どう使うか」が変わるので、生活動線も含めて考えるといいですね。


3. 沖縄の気候を考慮する

沖縄の住まいでは、高温多湿や強い日差しへの配慮も必要です。本や写真アルバムの日焼けや湿気対策は、本棚だけでなく、窓の位置や間取りも含めて総合的に考えるといいでしょう。

例えば、西日が強く当たる場所は避ける、通気性を確保するために背板を一部オープンにするなど、ちょっとした工夫で大切なコレクションを長く保つことができます。


4. 荷重とたわみ対策を考慮する

本は意外と重いものです。特に文庫本や単行本を多く収納する場合、棚板1メートルあたり30〜40kgの重さになることも珍しくありません。既製品の本棚では、この重さに耐えられずに棚板がたわんでしまうことがよくあります。

造作本棚の大きな利点は、こうした荷重に対して適切な対策ができること。例えば:

  • 棚板の厚みを通常より厚く(20mm以上)設計する
  • 棚板の奥行きに応じて適切な厚みを選ぶ(奥行き30cmなら25mm厚など)
  • 長い棚板には中央部に支柱や仕切り板を設ける
  • 棚受け金具の間隔を60cm以内にする
  • 特に重い本を置く棚には補強材を入れる

こうした構造的な配慮をすることで、長期間使用しても美しい状態を保つことができます。また、壁や床にしっかりと固定することで、地震時の安全性も高まります。

素材選びで変わる、本棚の表情

本棚の印象を大きく左右するのが素材選び。木材は温かみがあり、住空間に自然な雰囲気をもたらします。

パインは柔らかな印象で予算も抑えられますし、オークは木目がはっきりしていて存在感があります。ウォールナットは落ち着いた色合いで大人の雰囲気を演出できます。

素材選びで迷ったら、住まいの床材や建具と合わせるのがおすすめ。統一感が生まれて、空間全体がまとまります。

強度面では、広葉樹(オーク、ウォールナットなど)は針葉樹(パイン、杉など)より硬く、たわみにくい特性があります。また、合板や集成材は反りやねじれが少なく、安定した強度を持つため、長い棚板に適しています。

沖縄では湿気対策も重要なので、耐湿性の高い素材や適切な塗装処理を選ぶことも大切です。

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アイデア次第で広がる可能性

造作本棚の面白さは、アイデア次第で様々な可能性があること。

例えば、階段の各ステップ横に薄型の本棚を設けるデザインは、階段を上り下りするたびに、違う本や家族の写真との出会いがある遊び心のある空間を生み出します。

また、本棚に間接照明を組み込むのも素敵です。LEDテープライトを棚板の下に仕込むと、本の背表紙や飾られた思い出の品が美しく照らされて、夜の団らんタイムがより特別なものになります。

家族の成長記録を飾るギャラリースペースと本棚を組み合わせれば、日々の暮らしの中で思い出に触れる機会が増え、家族の絆を深める空間にもなります。

費用の目安とメンテナンス

造作本棚は既製品より費用がかかります。
一般的な壁面本棚(幅180cm×高さ240cm程度)で、40万円〜90万円くらいが目安です。

ただ、空間との一体感や耐久性を考えると、長期的には満足度の高い選択になるでしょう。
「家具は買い替えなければならないが、作家具は住まいの一部になる」という視点で考えてみてください。

また沖縄では、湿気やカビを防ぐために、定期的な換気や年に一度の点検・清掃をおすすめしています。

まとめ──”建築の一部”としての本棚づくり

造作本棚の魅力は、空間に合わせたオーダーメイドであること。本の量や種類、家族の思い出の品、ライフスタイルに合わせた、あなただけの収納空間が作れるんです。

もちろん、住まいの構造や予算によって、できることとできないことがあります。専門家と一緒に考えることで、限られた条件の中でもご希望に近い本棚を実現できる可能性が広がります。

弊社では、住宅の設計段階から家具計画を含めたトータルデザインを一緒に考える事も可能です。
「こんな本棚は可能かな?」といった素朴な疑問から、お気軽にお問い合わせフォームからご相談いただければ幸いです。

都市建築設計のノハラでした!ありがとうございます。

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